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令和3年度施政方針

ページID:0002547 更新日:2022年10月17日更新 印刷ページ表示

福岡誠志三次市長 1 はじめに
 私が市長に就任してから2年が経過し、早いもので任期の折り返しとなります。この間、市民の皆さん、議員各位のご理解、ご協力に支えられ「新しい三次」を前進させるべく、情熱を持って一生懸命取り組んでまいりました。
 本日、令和3年3月三次市議会定例会の開会に際し、令和3年度の予算をはじめとする諸案件のご審議をお願いするにあたり、新年度に臨む私の所信と主要事業の概要についてご説明申し上げ、市民の皆さん並びに議員各位のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 まずは、喫緊の課題である新型コロナウイルス感染症対策についてです。
 世界中で猛威をふるい、いまだに収束が見通せない「新型コロナウイルス感染症」への対応は、1年を越える戦いとなっています。これまで感染拡大の防止にご理解とご協力をいただいてきた、市民の皆さん、事業者の皆さん、また昼夜を問わずご尽力いただいている医療・介護従事者をはじめとするエッセンシャルワーカーの皆さんに、あらためて敬意と感謝を申し上げます。本市においても、感染拡大防止のため、国や県とも連携しながら、各種対策に全力で取り組んでまいりました。皆さんのご協力により、市内における感染症患者の発生は最小限にとどめることができていますが、感染が拡大するリスクは依然として残っています。市民及び事業者の皆さんには、普段の生活や事業活動において、基本的な感染防止対策の実践を継続していただき、この危機を共に乗り越えていくために、引き続きご協力を賜りますよう、あらためてお願い申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症の影響で厳しい状況が続く地域経済を支え、市民の皆さんの暮らしを守るため、令和2年度では10回の補正予算を編成し対策を実行してきました。しかしながら、三次商工会議所が実施された令和2年10月から12月期の景況調査報告でも、「事業環境がコロナ禍前の水準に回復するのはいつ頃か」という問いに対し、「見通しが全くつかない」と回答した事業所が3割近く(29.5%)に及ぶなど、地域経済の回復が遅れることが見込まれます。引き続き国や県と連携しながら、必要な支援に取り組んでまいります。
 このように先行きが不透明な状況ではありますが、中長期的な視点を持ち、ウィズコロナ、アフターコロナを見据え、三次の元気づくりにつながる事業も実施していきたいと考えています。
 なお、新型コロナウイルス感染症対策に効果が期待されているワクチン接種については、庁内に「新型コロナワクチン接種対策チーム」を設置し、国が示すスケジュールに基づき、まずは医療従事者の皆さん、4月以降に高齢者の皆さん、続いてその他の市民の皆さんに受けていただけるよう、万全の準備を進めているところです。接種体制は、三次地区医師会との連携・協力のもと、かかりつけ医で安全・安心に接種していただける「三次方式」を構築し、円滑な接種をめざしています。現在のところ、三次地区医師会で市内35の医療機関で接種できるよう調整をいただいています。高齢者の皆さんへの接種券の発送は、3月下旬以降を予定しており、接種が開始されましたら積極的な接種をお願いします。私も順番が来ましたら、率先して接種を受けさせていただきます。
 こうしたコロナ禍の状況にあって、昨年、本市の名誉市民である、人形作家の奥田小由女先生が文化勲章を受章されるという大変うれしいニュースがありました。今後、この受章をお祝いする事業を計画し、その準備を進めてまいります。
 また、本年は1年延期となった東京2020オリンピック・パラリンピックが開催されます。1964年東京大会の最終聖火ランナーを務めた坂井義則さんの出身地である本市から、5月17日、広島県の聖火リレーがスタートします。本市では、104歳の冨久正二さん、パラリンピック出場をめざす川本翔大さんをはじめとするランナーが、それぞれの想いをのせてつないでいきます。大会組織委員会や広島県と連携し、新型コロナウイルス感染症対策等を徹底の上、安全・安心なリレー運営に努め、ランナーとともに本市から夢と希望を届けられるよう万全の準備を進めてまいります。
 さて、昨年11月には、人口減少社会にあって、誰もが誇りと希望が持てる、活力ある持続可能な本市のまちづくりのため、その戦略の方向性を「田園都市×デジタル~つながるみよし」とした、第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定しました。新型コロナウイルス感染症により変化した、新しい日常においても、ICT(情報通信技術)の活用や、持続可能な開発目標であるSDGsへの効果も意識しながら、新しい時代の流れも力とし、地方都市の魅力、地域資源、これまで積み重ねてきた協働のまちづくりをベースに、市内外の人、地域、企業、産業などが様々な形でつながることで、「子育てしやすい三次、生きがいの持てる三次、誰もが暮らしやすい三次」をめざし、さらに「前進」してまいります。

2 財政状況
 続いて、財政状況について申し上げます。令和元年度の実質公債費比率・将来負担比率などの財政指標はいずれも基準以内で財政の健全性を維持していますが、一般財源の余裕度を示す経常収支比率は97.5%と合併以降最高比率に達し、経常的に使える一般財源の余裕がなくなってきています。
 平成30年度決算では、本市と同程度の人口と産業構造である類似団体69都市における比較においても、財政力指数や経常収支比率、住民一人当たりの市債残高などが下位に位置している状況です。
 普通交付税の優遇措置の終了により、歳入は大幅に減少したにもかかわらず、歳出は過去の大型事業により公債費が多額に上り、また社会保障費や道路など公共施設の維持管理費についても多額の経費を経常的に要しており、その年の収入でその年の支出を賄えない状況になっています。当面は基金を取り崩しての財政運営をせざるを得ませんが、基金にも限りがあることを踏まえれば、今後の財政運営は一層厳しさを増すものと予測されます。

3 令和3年度予算編成の基本的な考え方
 次に、令和3年度当初予算編成の基本的な考え方について申し上げます。
 令和3年度の当初予算では、厳しい財政状況の中、徹底した内部管理経費の削減や、選択と集中による施策の見直しと再構築などを進めたところです。その上で、これまで進めてきた諸施策及び令和2年度の繰越事業と併せて、平成30年及び昨年発生した豪雨災害の早期復旧に最優先で取り組み、頻発する自然災害に対する防災・減災対策を強力に推進していきます。
 また、「田園都市×デジタル~つながるみよし」の実現に向けた施策を着実に進めるなど、ハード、ソフトそれぞれにおいて、市民生活に密着した予算編成を行ったところです。
 なお、新型コロナウイルス感染症対策については、現在も「三次市飲食事業者支援給付金」事業を実施しているところですが、飲食店以外の支援についても、現在、県において検討されているところです。本市も、県の補助制度を受け、支援を実施するよう検討を進めています。これらを含めた対策事業については、国の第3次新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金も活用し、時機を逃さず的確に必要な予算措置をしていく考えです。

4 令和3年度当初予算(案)の概要
 続いて、令和3年度予算(案)の概要について申し上げます。
 一般会計と5つの特別会計、さらに3つの企業会計を合わせた市全体の予算規模は、690億6,535万8千円で、令和2年度に比べて、10億180万3千円、1.4%の減としています。このうち、一般会計は、370億3千万円、前年度に比べて4億5千万円、1.2%の増であります。5つの特別会計は、133億710万8千円で、前年度に比べて3億3,267万2千円、2.4%の減としています。
 一般会計の歳入の特徴としましては、新型コロナウイルス感染症による企業収益や個人所得の落ち込みにより市税が約9億円の減になりますが、市税の落ち込みを一定程度補てんする国の制度等により、地方特例交付金約4億4千万円、地方交付税は約3億1千万円の増となっています。また、繰入金は、基金繰入金を抑制したことにより、約2億3千万円の減となっています。
 歳出の特徴を性質別にみますと、義務的経費である人件費や扶助費は合わせて約1億8千万円の増ですが、公債費は、令和元年度に繰上償還を実施したことにより、前年度と比較して約5千万円の減となっています。普通建設事業費は、約8億2千万円の増となっていますが、これは学校給食調理場整備事業等によるものです。災害復旧事業費については、復旧工事の進捗により約4億3千万円の減となっています。

5 施策の重点方針
 続いて、所信表明でお示しした「市政推進のための7つの重点項目」の分野に沿って、重点方針をご説明申し上げます。

(災害に強いまちづくり)
 1点目は、「災害に強いまちづくり」です。
 先般2月13日にも福島県沖を震源地とする、最大震度6強の大きな地震が発生しました。この地震によりお亡くなりになられた方に謹んでお悔やみを申し上げるとともに、被災された方々に対し、心からお見舞いを申し上げます。こうした自然災害は、いつどこで起きるかわからず、市民の皆さんの安全・安心を確保するため、日頃から防災・減災に対する取組を進めておくことの重要性を再認識したところです。
 平成30年豪雨災害の復旧については、公共土木施設及び農地・農業用施設とも、関係各位のご協力により契約率が100%となり、着実に復旧工事を進めているところです。令和2年の豪雨災害についても、引き続き最優先で取り組んでいきます。
 内水対策事業については、畠敷・願万地地区において、貯留施設整備事業に加え、新たに恵木谷川の排水路整備事業に着手します。また、稲荷排水機場などの排水ポンプ場の更新も継続して行います。
 ソフト対策としては、雨水流出抑制施設設置や、広域緊急輸送道路に面する建築物の耐震化に対する補助制度を創設し、また避難行動要支援者システムの導入などを実施します。
 近年、全国各地で大雨による大規模な災害が多発しています。本市では、昭和47年の大水害から50年に向けて、今年の出水期を前に、関係機関と連携して、大規模な洪水の発生を想定した訓練を実施し、市災害対策本部の情報収集・伝達、排水機場等の稼働、避難所の設営手順などを確認するとともに、市民の皆さんの防災意識の向上を図ります。
 引き続き、市民の皆さんの声を丁寧に聴きながら、ハード・ソフトの両面から、防災・減災に関する事業にしっかりと取り組んでまいります。

(ICT(情報通信技術)の活用で暮らしを豊かに)
 2点目は、「ICTの活用で暮らしを豊かに」です。
 デジタル技術を有効に活用し、身近な暮らしをより便利で豊かにしていくため、新しく設置する「情報政策監」が中心となり、組織横断的に、三次版スマートシティ構想の具体化に取り組みます。
 私自身、市長に就任させていただいた当初より、本市の持続的な成長・発展のためにはデジタル化の推進が不可欠であると申し上げてきましたが、コロナ禍において、日本社会におけるデジタル化の遅れが浮き彫りになるとともに、自動化やデジタル化に対する必要性や理解度が一気に高まりをみせ、国においても、本年の9月にはデジタル庁の発足が予定されているところです。
 本市では、令和2年度に、副市長をCDO(最高デジタル責任者)とするDX(デジタルトランスフォーメーション)推進本部を立ち上げ、市民の皆さんのためのデジタル変革を進めてきました。三次版スマートシティ構想では、福祉・医療・災害・教育・経済・行政などのあらゆる分野で、市民の皆さんの身近な暮らしを、デジタル技術を活用しながら、便利で豊かにしていくことをめざします。
 学校教育では、ICT支援員を増員し、GIGAスクール構想のもと、児童・生徒1人に1台整備したタブレット端末を効果的に活用し、学びが深まるよう取り組みます。
 市役所窓口での手続きへのICT導入や、原則押印廃止などにも取り組み、様々な行政手続きの利便性向上を図ります。また、ICTを活用し、省力化、低コスト化、高収量化等、中山間地域における新しい農業の確立を推進します。
 また、市内事業所でのDXの推進や、より多くの市民の皆さんがデジタル技術を活用いただけるよう、企業向けセミナーや高齢者向けスマートフォン教室の開催など、広くデジタル技術の啓発活動を進めます。
 デジタル技術は一つの手段として活用しながら、あくまでも人と人とのつながりを大切にした、心の通い合う市政運営に努めてまいります。

(三次の元気づくり)
 3点目は、「三次の元気づくり」です。
 移住者支援については、コロナ禍により地方での生活が注目されており、人の流れが都市部から地方へと向いている機運をとらえ、地方に元気を取り戻す大きな転換期を迎えていると言えます。その中で本市が選ばれるため、自然に囲まれた三次の暮らし、三次で実現できるライフスタイル、地域の魅力や特徴などを広く発信する、移住・定住ポータルサイトを開設したところです。令和3年度における移住者支援については、新たに、みよし暮らし推進事業として、この移住・定住ポータルサイト及びSNSを活用した三次の魅力発信による“ツナガリ”人口の拡大、移住相談事業の充実、Uターン者実家等改修事業、みよし暮らし体験支援事業など、総合的な移住者支援を進めていきます。
 新たな働き方支援では、テレワークの活用が進むなど、「転職なき移住」といわれる、場所にとらわれない新しい働き方が広がっています。テレワークやワーケーションの環境整備として、お試しオフィス整備、コワーキング施設整備支援補助制度の創設など、新しい人の流れの創出と地域経済の活性化につながる取組を推進します。
 また、「子育てしやすい三次」の更なる充実に向けて、ネウボラみよし事業にデジタル技術を取り入れ、乳幼児健診の結果や乳児訪問記録などの情報一元化を進め、迅速かつ効率的に関係部署と情報共有を図るためのシステムを構築します。引き続き、妊娠期から子育て期にわたるまでの切れ目ない相談支援体制を継続するとともに、関係機関が連携し、きめ細やかな支援を行います。その他、こども医療費助成事業をはじめとする子育て応援事業などに継続して取り組みます。
 市内の商工業振興にあたっては、新型コロナウイルス感染症の影響による地域経済を支えるため、国や県と連携し、また三次商工会議所や三次広域商工会など関係団体と協力のもと、引き続き必要な支援を行ってまいります。

(計画性のあるまちづくり)
 4点目は、「計画性のあるまちづくり」です。
 新しい学校給食調理場の整備については、令和5年の2学期から、安全・安心な学校給食を継続的に提供できるよう、令和3年度においては、整備計画に基づき、多機能化なども視野に入れた基本設計、実施設計、また土地の造成工事などを着実に進めます。
 ファシリティマネジメントにおいては、将来の三次の子どもたちに大きな負担を残さないよう、公共施設等総合管理計画に基づく、公共施設の整理、統合、複合化などの有効活用について、引き続き積極的に取り組みます。
 道路、橋梁、上下水道など、日々の暮らしに欠かせない生活基盤の整備・維持についても、必要性や緊急度を勘案しながら、着実に事業を進めます。
 また、令和3年度からは新たに「広島広域都市圏」への加入を予定しています。人口減少、少子高齢化が進む中、様々な社会情勢に対応するため、広島市を中心とした25市町で連携を強化することで、圏域全体のサービスの向上、福祉の増進を図り、本市の活性化、魅力向上につなげていきます。

(スポーツ・文化の振興)
 5点目は、「スポーツ・文化の振興」です。
 スポーツの面では、1年延期となった東京2020オリンピックの陸上と野球のメキシコ選手団の事前合宿支援や、東京2020オリンピック聖火リレー・パラリンピック聖火フェスティバルに取り組みます。新型コロナウイルスの感染対策を行いながら、子どもたちをはじめ市民の皆さんに元気と希望を与えられるよう、また選手たちが本大会で十分力を発揮できるよう、準備に万全を期してまいります。
 また、スポーツの習慣化やスポーツ合宿・大会の誘致、女子スポーツを応援する取組などを実施します。とりわけ、昨年12月に女子野球タウンに認定された女子野球については、大会誘致が実現し、今年11月に西日本大会が本市で開催される予定です。今後、地域とも連携を図ることで、地域活性化につなげ、本市に女子野球の文化を築いていきたいと考えています。
 文化面では、奥田元宋・小由女美術館をはじめとする市内の4つの美術館や湯本豪一記念日本妖怪博物館、三次市民ホールきりりなどで、引き続き本物の芸術・文化に触れる機会を提供します。
 長い歴史と伝統を誇る鵜飼や寺町廃寺跡整備事業など、地域の文化を大切にし、後世へ継承する取組を進めます。

(地域資源を活かした産業づくり)
 6点目は、「地域資源を活かした産業づくり」です。
 農林畜産業の分野では、ICTを活用し、振興作物であるアスパラガスの高収量化に取り組み、儲かる農業として経営モデルを確立し、更なる産地形成、新規就農者の育成を図ります。薬用作物等栽培促進事業では、JAアグリ三次圃場に加え、市内3箇所で栽培適地試験を行います。また、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所(薬用植物資源研究センター)と、学校法人東京農業大学、三次市の3者で、生薬の持続的供給をめざした薬用植物の栽培、調製加工に関する共同研究の契約を結び、栽培技術の開発などに取り組みます。(仮称)みよしアグリパーク整備事業では、酒屋ぶどう団地において3.7ヘクタールのワイン用ぶどう専用園地整備に着手し、三次産ぶどう及び三次産ワインのブランド強化を図ります。
 観光面では、新たに策定する観光戦略に基づき、ウィズコロナ時代に対応した効果的な観光プロモーションを行うとともに、稼ぐ力の創出をめざし、一般社団法人みよし観光まちづくり機構(DMO)を中心に、新たな体制のもと、地域資源を活用した観光商品の開発支援に取り組みます。加えて、DMOが中心となり、関係者との合意形成や効果的なプロモーションの実施などに取り組めるよう、組織のあり方について検討を進めます。

(暮らしの安心)
 7点目は、「暮らしの安心」です。
 新たに「医師確保・開業支援事業」、「医師育成奨学金貸与事業」を創設し、市内における新規開業支援、医師をめざす学生を支援し、持続可能な地域医療の確保・充実を図ります。
 10月には、広島広域都市圏で実施する救急医療の電話相談事業「救急相談センター広島広域都市圏」(#7119)を開設し、24時間365日相談できる体制を整え、日々の安心を確保するとともに、救急車の適正利用や救急医療機関の受診の適正化等を図り、将来にわたって持続可能な救急医療体制の構築につなげていきます。
 また、市民の皆さんがご自身の健康診断の情報をスマートフォンなどで閲覧できる、「個人健康記録」(パーソナル・ヘルス・レコード)について、健康づくりへ活用ができるよう準備を進めるとともに、「いきいき健康日本一のまち」の各種事業の取組を継続します。
 誰もが住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けられるよう、高齢者保健福祉計画、介護保険事業計画、障害者計画などに沿って、関係機関と連携した、介護予防・生活支援サービス事業、障害者支援事業、地域包括ケアシステムの構築などにも継続して取り組みます。

 以上、申し上げたような施策を着実に実行していくためには、積極的、効果的な情報発信が必要不可欠となります。広報みよしやケーブルテレビ、三次市公式SNSなどを重層的に活用し、本市の魅力・情報を積極的にわかりやすく発信します。また、戦略的なシティプロモーションにより、ふるさと三次の魅力創出と認知度向上を図り、全国とのつながりを広げる取組を展開してまいります。

6 第2次三次市総合計画「まちづくりの取組の柱」ごとの主な取組
 続いて、第2次三次市総合計画の「政策の体系」に沿って、市政運営の基本方針を申し上げます。

(ひとづくり)
 「ひとづくり」では、子どもの未来応援宣言に掲げた、子どもたちの可能性を伸ばし、子どもたちの希望を支え、子どもたちのチャレンジを応援する取組を進めます。
 教育の面では、本市では毎年「学力到達度検査」を実施していますが、令和2年度の本市全体の正答率は全国平均を上回っており、学力は概ね定着していると言えます。児童・生徒の確かな学力向上のため、個々の学び支援事業など、児童・生徒一人ひとりの課題に応じたきめ細やかな指導を行い、子どもたちの力を最大限伸ばしていきます。
 また、学校・家庭・地域が協働して子どもたちを育む「地域とともにある学校」づくりを推進し、より質の高い学校教育の実現を図るため、これまでの小中一貫教育をさらに充実・発展させ、令和4年度以降、順次、各中学校区にコミュニティスクールの設置を予定しています。令和3年度ではモデルとなる中学校区を指定し、導入・運営の準備を進めます。学校規模適正化については、検討委員会からの答申を踏まえ、令和3年度では、教育委員会において今後の基本方針を決定していきます。
 男女共同参画の分野においては、男女共同参画基本計画に基づき、一人ひとりがしあわせな社会をめざして、互いにその人権や個性を尊重し、責任も分かち合い、それぞれの個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現に向けた取組を進めます。
 また、「平和ですべての人の人権が尊重される社会」の実現に向けて、平和の尊さを次世代へ引き継ぐ事業、人権尊重の普及・啓発を行い、他者と共感し、多様性を認め合うひとづくりに、積極的に取り組みます。

(くらしづくり)
 「くらしづくり」では、医療の分野において、新型コロナウイルス感染症が拡大する中、市立三次中央病院においては発熱外来の開設、県内の感染患者の入院受入れ等、地域医療を守るため、三次地区医師会や市内の医療機関と連携しながら積極的に取り組んできました。令和3年度は79名の医師で診療をスタートする予定となっており、医療提供体制の維持に努めるとともに、備北地域の中核病院としての専門性を発揮しながら、広島県や広島大学、関係団体と連携のもと、医療の質の向上をめざします。また、病院施設については建築後26年が経過しており、中長期的な視点に立ち、建替を視野に、今後の方向性について検討・調査を開始します。
 福祉分野においては、「生きがいの持てる三次」の実現のため、社会福祉協議会等の関係機関と連携し、高齢者や障害者の皆さんの健康づくり事業、生きがいづくり事業の充実を図ります。
 地域公共交通分野においては、引き続き市民の皆さんの生活移動手段を確保・維持していくとともに、新たに鉄道を中心とした公共交通の総合的な利用促進事業を実施します。
 また、消費生活における安全・安心確保のため、引き続き、消費生活センターによる相談体制の確保や啓発行動を行っていきます。

(仕事づくり)
 「仕事づくり」では、女性活躍推進プラットフォーム事業、農林畜産業、商工業などに関する各種事業を継続し、就労・起業支援、産業の振興に取り組むことで、誰もが働きやすいまちづくりを進めます。また、2本の高速道路がクロスする地理的特性を活かした企業誘致や観光振興、事業者の支援、人材の育成などに取り組みます。
 農林畜産業分野においては、「持続可能な地域農業の確立」を第2期農業振興プランのめざす将来像として継承し、農業者、市民、関係団体と連携のもと、新規就農者の育成・確保、集落法人や認定農業者等の担い手の育成・強化などに取り組みます。加えて、田園回帰志向が高まる中、農業交流体験等、農業を身近に感じる取組を推進し、農業を支える多様な担い手として、地域人材育成の取組を推進します。また、農業基盤の整備のため、ため池や用排水路等の防災減災対策、農地改良などを継続して実施します。
(環境づくり)
 次に「環境づくり」です。
 私たちが生まれ育った、山や川などの豊かな自然環境は、本市の強みであり大切な地域資源です。昨年各地域で実施した、移住者の皆さんとの座談会でも、あらためてその価値に気づかされたところです。ひろしまの森づくり事業や森林環境譲与税を活用した森林整備などにより、適切な森林環境整備を実施します。
 また、次代を担う子どもたちに豊かな自然環境を残し、引き継いでいくため、「地方と連携した地球温暖化対策活動推進事業」に取り組み、教材等を作成・活用した小・中学校での啓発活動など、環境基本計画に沿った取組を進めます。
 その他、引き続き計画的な土地利用の推進、都市基盤や生活環境の整備、美しい景観づくりなど、まちの魅力を高める取組を着実に推進します。
 さらに計画的なストックマネジメントと適切な支出・負担により、市民の生活や産業を支える社会資本を適切に保全するとともに、持続的に活用します。
 また、国や県と連携・協力して各種整備事業を進めていくとともに、更なる事業展開に向け、本市の主要な施策の効果を十分に発揮していくうえで必要な要望活動を積極的に行っていきます。

(しくみづくり)
 「しくみづくり」では、デジタル技術も活用しながら、地域内外の人が様々な形でつながりを強め、お互いが果たす役割を考え、協力し、補い合いながら、ともにまちづくりを進めていくことが一層必要であると考えます。
 各地域が掲げるまちづくりビジョンの実現に向け、平成30年度から令和2年度にかけて3年間行った地域の人口動態等の調査分析を基に、「地域の未来づくりアドバイス事業」として、引き続き各地域の取組に対し検証や助言、提案を行うなどの支援を行います。その他、目的型コミュニティや次世代のまちづくりの担い手である若者たちと各地域をつなぐ、「ウチソト“ツナガリ”つなぐ事業」を行い、活力ある地域づくりを進めます。
 また、今年1月には安芸高田市と、住民票や納税記録の管理等を行う基幹業務システムに関し、コストの削減、業務負担の軽減及び情報セキュリティ水準の向上を図ることを目的として、自治体クラウドに関する協定を締結しました。令和5年度の共同利用開始に向け、システムの移行作業を計画的に進めます。
 本市が持続的に成長・発展していくためには、健全な財政運営が重要となります。新型コロナウイルス感染症の影響もあり、これまで以上に厳しい状況が見込まれる中、財政健全化に向けた計画が必要になるものと考えています。歳入に関しては、市税収入の更なる減少が見込まれるため、債権確保やふるさと納税をはじめとする歳入確保に努めるとともに、未利用財産の売却や企業版ふるさと納税の検討を進めるなど、あらゆる歳入確保策に取り組みます。歳出においても、内部管理経費の更なる節減や業務改善を進め、財政負担の軽減を図っていきます。第4次行財政改革推進計画を着実に推進し、また、行政のみならず、民間のノウハウを活用する仕組みづくりについても検討するなど、様々な手法により、次代を担う子どもたちの未来に大きな負担を残すことのないよう、長期的な視点に立って、責任ある行財政運営に取り組んでまいります。

7 終わりに
 以上、令和3年度の市政運営にあたり、私の基本的な考え方を申し上げました。
 最後に、令和2年度のみよしことばフェスタ作品コンクールの入賞作品で、私が印象に残っている、ある中学生が書いていた文章を一部紹介してみたいと思います。
 「天国があれば地獄があるように、マイナス思考がなければプラス思考は生まれないのだ。今までの私を含め、現代の社会ではマイナスな思考を嫌う風潮がある。辛い時や、苦しい時があったとしてもあえてネガティブな感情を無視し、ポジティブに考えようとする。しかし、そのマイナス思考こそが日々のなかでの小さな優しさや差し込む光に感謝をすることができるチャンスだと思う。」と書いています。
 新型コロナウイルスの全世界的な感染拡大により、医療や経済など様々な面での課題やリスクが顕在化し、我々の日常生活も一変したことで、不安やストレスを感じることも多くなっているのではないかと思います。あらためて平穏な日常に感謝しつつ、身近にあるものに新たな価値や可能性を見出し、時代の変化に対応した、三次市らしいまちづくりを進めていきましょう。
 今後も、市長就任時の初心を忘れることなく、「新しい三次」づくりに挑戦してまいります。新型コロナウイルス感染症が一日も早く収束し、安心して暮らせる日常を取り戻すため、また、新しい日常に対応した各事業推進に、引き続き全力投球で、職員一丸となって取り組んでまいります。
 市民の皆さん、議員各位の市政に対するなお一層のご理解・ご協力、変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げ、私の施政方針といたします。

令和3年2月26日 三次市長 福岡 誠志

令和3年度施政方針[PDFファイル/514KB]

令和2年度施政方針

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