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個人情報保護への過剰反応について
1.個人情報保護への過剰反応について
個人情報保護法が平成17年4月1日に全面施行されてから、個人情報は大切なものという認識が高まる一方で、個人情報保護を理由に、必要とされる情報までもが提供されなくなったり、各種名簿の作成が中止されるなど、いわゆる「過剰反応」といわれる状況が一部で見られます。
情報提供の拒否など「過剰反応」が問題となった例
- 法令に基づく照会に対して情報提供を拒否
- 捜査関係事項照会への回答
- 弁護士会照会への対応
- 人の生命、身体、または財産の保護のために必要な場合の情報提供を拒否
- 大規模災害や事故等の緊急時における情報提供
- 欠陥製品を回収するための購入者リストの提供
- 名簿の作成・提供が困難
- 学校における緊急連絡網の作成・配付
個人情報保護法の目的は、個人情報の有用性に配慮しつつ個人の権利利益を保護することです。
個人情報保護制度を正しく理解して、個人情報を保護するとともに、個人情報を上手に利用することが大切です。
利用・提供を止めてしまうのは、法の趣旨に沿ったものではありません。
個人情報保護法は、個人情報を第三者に提供する場合には、原則として本人の同意を得るなど、民間の事業者が個人情報を適正に取り扱うための義務を定めています。
最近、個人情報保護法の形式的な解釈や運用によって、これまで行っていた個人情報の利用や提供をやめてしまう例が見られますが、このようなことは個人情報保護法の趣旨に沿ったものではありません。
国勢調査などの各種統計調査に対して、個人情報保護法を理由として協力しないというのは誤りです。
2.本人の同意がなくても、個人情報を第三者に提供できる場合があります。
個人情報保護法は、次のような場合には、本人の同意なしに、個人情報を第三者に提供することを認めています。
- 法令に基づく場合
- 警察や検察等から、刑事訴訟法に基づく捜査関係事項照会があった場合
- 弁護士会から、弁護士法に基づく弁護士会照会があった場合
- 人の生命、身体または財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき
- 大規模災害や事故等の緊急時に、患者の家族等から医療機関に対して、患者に関する情報提供依頼があった場合
- 製品に重大な欠陥があるような緊急時に、メーカーから家電販売店に対して、顧客情報の提供依頼があった場合
- 公衆衛生の向上または児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき
- 地域がん登録事業において、地方公共団体から医療機関に対して、がんの診療情報の提供依頼があった場合
- 国の機関若しくは地方公共団体またはその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき
- 税務署等から事業者に対して、任意の顧客情報の提供依頼があった場合
3.学校や自治会等で名簿を作成・配布する際の手続きに必要なことは
- あらかじめ本人の同意を得る。
例:学校でクラス名簿や緊急連絡網などを作成配布する場合
入学時や新学期の開始時に「生徒の名前、住所など学校が取得した個人情報については、クラス名簿や緊急連絡網として関係者へ配布する」ことを明示し、同意の上で所定の用紙に個人情報を記入、提出してもらう。 - 同意に代わる措置を取る。
下のア〜エに掲げる事項について、あらかじめ「a」または「b」の措置をとった上で、作成した名簿を配布する。
a 本人に郵便、電話、電子メールなどで通知する。
b 事務所の窓口への掲示・備付け、ホームページへの掲載等によって、本人が容易に知ることができる状態に置く。
ア 利用目的(例:緊急連絡網として配布する)
イ 掲載内容(例:氏名、住所)
ウ 提供方法(例:関係者への配布)
エ 本人の求めにより名簿から削除すること
※この際、本人からの求めがあった場合には、名簿から削除しなければなりません。
詳しくは、個人情報保護委員会ホームページ(個人情報の保護)<外部リンク>をご覧ください。